個人再生後の住宅ローンと弁護士の活用
- 2018.04.16
- 個人再生

マイホームを取得するには年収の数倍にもなる購入資金が必要ですが、一般的なサラリーマンが一度にそのような大金を用意できることは稀な話といえます。そこで銀行などの金融機関で住宅ローンを組むのが一般的ですが、住宅ローンも借金のひとつにほかなりませんので、申し込みをしたからといって、ただちに借り入れができるとは限らず、その人の収入や健康状態などを含めたさまざまな角度から審査が行われ、これにパスした場合にだけ正式契約ができるという段取りになっています。
個人再生と住宅ローン
ここで問題になってくるのが、過去に個人再生などの手続きをした履歴がある場合です。個人再生というのは多重債務などによって借金の返済が困難になった場合によく使われる債務整理の方法のひとつですが、地方裁判所に対して申し立てることによってスタートします。個人の力だけでもできないことはありませんが、一般には法律問題にくわしい弁護士にいっさいの手続きを依頼するのが普通です。この手続きにおいては、個人再生計画とよばれる計画書を作成し、その計画書にもとづいて債務の一部を弁済するかわりとして、残りの一部のは免除してもらうことが特徴となっています。
いずれにしてもお金を貸した側としては法律の強制力で借金の棒引きを要求されているに等しいことですので、二度とお金を貸したいと考えないのは当然といえます。そこで個人再生をした場合には、銀行や消費者金融、信販会社などが加盟している信用情報機関にその事実が一定の期間にわたって登録され、今後もしもカードローンやキャッシングなどの申し込みがあった場合でも、事前に審査の段階でシャットアウトできるしくみが運用されています。これが巷間ではブラックリストに載ると形容される処置のことで、住宅ローンの場合ももちろん同様の取り扱いになります。
ブラックリストに載ると
いったんブラックリストに載ってしまった場合に、そのデータが削除されるまでには5年から10年はかかるといわれています。実際に削除されるまでの期間は信用情報機関によってそれぞれ異なるので一概にはいえませんが、かなりの長期であることは事実です。そこでこの期間内に新規の住宅ローンを金融機関に申し込んだとしても、審査の段階で信用情報機関に照会して過去の金融トラブルのデータは筒向けになっていますので、まず正式契約にまでこぎつけることはできないものと考えるのが妥当です。
もしも住宅ローンの借り入れをしたい場合には、残念ながら信用情報機関に登録されたデータが消去されるまで待たなければならないことになります。もっとも金融機関の側の個別的な判断によっては住宅ローンの新規借り入れが認められる場合もないわけではありません。たとえば有力な連帯保証人が付いていて、もしも本人に十分な返済能力がなかったとしても、連帯保証人のほうに請求をすれば債権回収ができる見通しが立っている場合が挙げられます。そのほかには現在の収入状況がかなり改善していて一定の返済能力が本人に備わっていることがわかる場合、頭金の部分が多く借り入れの金額が過度にならない場合などが該当します。
金融機関がそのような判断をしてくれるかどうかはまったくのケースバイケースのため、安易に期待を持ってしまうことも慎まなければなりません。もしも不安がある場合には、法律の専門家の弁護士の法律相談を受けた上で、金融機関との交渉を依頼するなどの解決策が考えられます。弁護士が取り扱う範囲は法律問題全般ですので、裁判はもちろんのこと、法律に関わる示談やその他の交渉なども含まれています。そのため知識と経験を持った弁護士の力によって、よりよい方法を模索することができることがあります。
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