消滅時効の対象と起算点について、迷ったら弁護士に相談を
- 2018.04.13
- 弁護士

“世の中には解決が難しい事件や事故が数え切れないほど存在します。世間を騒がせるような案件であればニュースとなりますので我々に知れ渡りますが、それらはごく一部でそれ以外に知られていない案件が多数あり、中には時効を迎え、一旦人々の記憶から消えてしまうものも多くあります。ニュースを見ていると、この時効という言葉は民事事件よりも刑事事件でよく聞く言葉ですが、日常頻繁的に起こっているのは民事の方ですから少し意外に感じるかもしれません。その中の用語の一つに消滅時効というものがあります。
消滅時効とは何か
これはある一定期間、請求などの権利を行使されない場合、その権利を消滅させる事ができる制度で取得時効などと一緒に時効の一つです。ちなみに取得時効は他人のものを一定期間占有などする事でその権利を与える制度です。この消滅時効にも細かく要件が認められていて、権利を行使しない状態が一定期間継続する事ですが問題となるのは時効が成立する起点となる時点、そして時効期間の長さです。これは債権の請求やその他によって違いがあるため、しっかりと押さえておく必要があります。消滅時効期間は一般の債権であれば10年、債権または所有権以外の財産権については20年と民法で定められていますが権利の種類によっては異なる期間となる場合もあります。
ただし全ての権利が対象となる訳ではありません。対象となるのは債権と債権または所有権以外の財産権ですが、後者の例としては用益物権と言われる地上権、永小作権、地役権などがあります。対象にならないものとして代表的なものであれば所有権があります。これは所有権絶対の原則とあらわれと言えるでしょう。他人が所有権を時効取得した場合には原権利者の所有権は消滅する事になりますが、これは取得時効によるものであって所有権が消滅にかかったことによるものではないからです。
似たようなものに物権から派生する権利関係もあげられます。所有権が消滅時効にかからないことの証明として所有権に基づく物権的請求権や所有権に基づく登記請求権、共有物分割請求権などの所有権から派生する権利も対象外と過去の判例がでています。その他にも担保物件や占有権に留置権、形成権なども対象外になっています。ここら辺は非常に複雑なため弁護士に見解を確認する事をおすすめします。
起算点の時期
ここで重要になってくるのが起案点で、これは権利を行使する事ができる時と定められています。権利不行使の状態が長い間続くことで事実的基礎としてみとめられるものであるため、いまだ権利が行使できる状態になっていないときには時効が消滅してしまう事がベストではないからです。
権利を行使する事ができる時とは権利行使についての法律上の障害となる事象がなくなった時というふうに解釈されています。例をあげると履行期限の未到来は法律上の障害であるため、期限が到来するまで時効の消滅についてカウントは開始されませんが、権利者が長期の入院や不在といった場合には法律上の障害ではなく事実上の障害でありますので時効の進行を妨げるものではありません。
その権利ごとの消滅時効の起案点について具体的に記したいと思います。期限がついている債権や予め停止条件が決められている債権はそれぞれ期限到来の時、あるいは条件が成立のときに法律上の障害がなるなるため起算点となります。もしも不確定期限の場合であっても債務者側が期限の到来を知ったか否かに関わらず、期限到来の時点で時効が進行することになります。履行が延滞となる時期が債務者側が期限の到来を知ったときとされるのとは、似て非なる案件のため異なる事には注意が必要です。ちなみに期限のない債権はいつでも債務者に履行を請求することができる類のものですので原則的には債権成立と同じタイミングが起算点となります。
-
前の記事
奨学金で破産しない為に今から必ず知っておくべき注意点 2018.04.13
-
次の記事
給料差し押さえを防ぐ方法、まずは弁護士に相談を 2018.04.13