自己破産を円滑に進められる破産管財人とは
- 2018.05.10
- 自己破産

破産手続きをすると申請者の財産を換価処分し、債権者に対して分配する作業が求められます。しかし不動産物件の様に時価で価値が変動する物もあるため、その価値が減少しないように予め換金したり価値を保存するために破産管財人が存在します。
また複数の債権者が存在する時には、それぞれ平等に分配しなければならないため、破産管財人が第三者の視点で作業を請け負います。
破産管財人の役割
さらに破産管財人とは破産申請者の経済的再生作業も考えなければならないため、双方の中立の立場として財産管理を代行します。なので破産申請時は一時的に申請者の残りの財産は元の管理権限を失い、破産管財人が権利を所有するため破産者は財産処分を自分でできなくなる仕組みがあります。
ただし管理する財産が破産財団等の組織に属する物で、それが元で裁判が起こされた時には破産管財人が当事者になるので裁判所に出頭を求められます。そのため裁判の裁定材料を集めるために不動産物件だけでなく、船舶等の乗り物と著作権や鉱業権等の破産者の所持する権利や所有物を裁判所許可の元任意で売却できる権利があります。
売却を行うための帳簿等の財産に関係する全ての書類を裁判所の許可があれば閲覧できると同時に、破産者に過払いがある場合はその請求を破産管財人が代行します。
以上の事から破産管財人とは破産申請に関する業務全て行う事から、弁護士を含めた実績のある人の中から選任します。
反対に破産管財人の解任権も裁判所に存在し、必要書類の閲覧から財産の任意売却まで必ず裁判所の判断が絡む事になります。
さらに裁判での報告義務と同時に、各債権者への報告も義務付けられており財産の分配報告によっては異議も申し立てられるので、破産申請が円滑に行えるような配慮が必要です。
破産管財人の報酬は裁判所に支払う予納金から出されますが、破産申請をした裁判所と管財する規模によって違います。
地裁の場合で個人負債の事例だと5000万円未満で50万円の予納金になり、最大で10億円未満の負債になると250万の予納金が必要になります。しかし法人の財産を破産管財人が管理する時には個人負債に加えて、30万円から50万円の追加費用が掛かる可能性が高いため留意しておきましょう。
免責不許可
この様に破産管財人とは裁判所との関係性も深いため、破産申請をした人は破産管財人に対しての報告義務が存在し、虚偽の報告した時には罰則が発生します。
その事例の一つが免責不許可事由で、破産者が虚偽の報告をしたために裁判所が負債の免責を許可しなかった場合です。
例えば自己破産申請後に意図的に残りの財産量を賭博等で減少させた時には、破産法第252条第1項に基づいて免責不許可を執行します。なので破産管財人の手で自己破産をする時には、破産者は破産管財人に対しての協力義務と説明義務が発生するので必ず守ってください。
また免責許可が執行されても判決確定日から7年以内に免責許可の申し立てがあった時には、義務違反があったかどうかを調査され事案によっては免責不許可事由になります。加えて法的義務に違反している時には破産管財人も含めて違反者には民事責任が発生し、場合によっては10年以下の懲役と1000万円以下の罰金が科せられるので注意してください。
しかし虚偽の報告をしても事例によっては裁量免責の判断が下されて免責許可になる事例もあります。なので自己破産を始めてする人は破産管財人に申請を依頼し、自分の分かる範囲で申請手続きに協力しましょう。
注意点は破産管財人の解任は破産者自身でも行えますが、解任の判断は裁判所が破産管財人からの話も聞き、その上で解任を判断するので一方的な解任はできません。なので破産管財人の選任は弁護士等の専門職の方に依頼し、破産申請を円滑に行えるように配慮してください。
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