元夫の自己破産により養育費の支払いもストップしてしまうのか
- 2018.04.22
- 自己破産

例えば夫婦が離婚してしまったとき子どもがいればどちらかが親権を持ち、養育していくことになります。十分な養育費が子どもが成人するまで、また就職するまできちんとあれば良いですが、滞ることも残念ながら少なくありません。単純に元旦那が渋って払わなくなってしまったというパターンもよく見受けられますし、他の事情で払えなくなったと言われてしまうこともあります。例えば、元旦那が借金に追われるようだとかなり厳しいです。
元夫が自己破産してしまった!
借金があると、稼ぎの一部がその返済に充てられることになります。養育費まで回らなくなる可能性は高いと言わざるを得ません。もっと行き詰まって自己破産などといった場合はどうでしょうか。
養育費を払う義務のある人が自己破産したと言われれば、かなり動揺します。もう支払いがされなくなってしまうのではないかと多くの人が思うからです。自己破産は、全ての債務が免責されるのが基本ですが、中には例外もあります。慰謝料や養育費は非免責事項と呼ばれ、破産したからといって免責されることはありません。そもそも借金などとは性質が違うものです。配偶者から受けた精神的損害に対する慰謝料や子どもに対する扶養義務から発生する養育のための支払いは自己破産しても逃れることはできないということです。ちなみにこれは新たに発生する支払いに対してのみではなく、破産手続き前に滞納していた費用にも適用されます。
ただし、法的にも支払いの義務があるからといって安心はできません。離婚時に取り決めた慰謝料などは原則、支払われなければなりません。しかし一方で、相手方の支払い能力という問題が首をもたげる場合があります。いくら義務だとしても、支払う側にその能力がなければ回収のしようがありません。財産を強制的に差し押さえるような手続きもありますが、差し押さえる財産が存在しなければ意味がないです。つまり、相手が自己破産したとしても支払いが受けられなくなるわけではありませんが、実際にお金を回収できるかという問題が解決するわけではないということです。破産している相手の資力に期待はできません。支払いを受ける人が泣き寝入り、という可能性は残ります。
ただ、だからといって諦めるわけにはいきません。子どもを育てるにはお金が必要ですし、習い事のためのお金や交際費もかかってきます。
養育費を確保する手段とは?
お金をきちんと支払ってもらうための措置がいくつかあります。それが、支払いの猶予をもたせたり、減額するという手段です。無いものは払えない、と開き直られるとどうしようもなくなる可能性だってあります。正当な権利なので、冷静に対処して取れる範囲で取る、というのが賢い選択です。少々遅れても猶予をもたせることで回収できることは多いですし、きちんと払わなければいけないと改めて意識させることもできます。当然その間はしんどい時期も過ごさなければなりませんが、なにも支払われないよりはマシです。
苦渋の決断ではありますが、減額に応じなければならない場合もあります。これも、支払う側の事情によってはそうせざるを得ないこともあると理解しておくべきです。
こんな事態を少しでも避けるため、離婚の際にきっちりと取り決めておくとリスクを少し回避できることもあります。協議書の公正証書で、もし支払いが遅れた場合は給与から強制執行できる、などと決めておけば良いです。ただこの場合も必ずもらえるとは限らないですし、離婚時にここまで撤退する人は稀です。
こうしておけば大丈夫、という完全な方法はないですが、色々な可能性を知り正しく理解しておけばある程度の対処は可能です。自己破産をしたからといって免責になるわけでは無いことを知っているだけでもずいぶん違います。正当な権利はきちんと行使できるように、準備はしておいて損はありません。
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